こんにちは!
井戸おやじこと、アサノ大成基礎エンジニアリング
の杉山明です。
4月初めの桜の開花宣言の出た翌日、
東京に出張しました。
出勤途中の街中はピカピカの
新入社員がやたら目につき、
こちらも何やらフレッシュな元気を
もらうと同時に、見ていると自身の
気持ちもちょっぴり引き締まります。
やはり、若さっていいですね-!!
弊社でも今年の新入社員は10名。
社内では新入社員研修の真っ最中でした。
皆さん、頑張って下さいね-!!
その日、仕事帰りのおやじは、
運悪く急な夕立に出会い、
膝から下がずぶ濡れになりながらも、
近くの上野恩賜(おんし)公園の夜桜を
横目に見て、、、、、
例によって街中へと繰り出しました・・・・
【上野公園の夜桜(しだれ桜)とおやじ】
さて今回のブログの話題は
「自噴井戸」についてです。
関東平野でも昔は、
上総掘りで自噴する
地下水を利用していた
時代がありました。
国内の各地には自噴帯と呼ばれる
地下水の豊富な地域が多くありましたが、
その後の地下水のくみ上げ過ぎで
自噴井戸は少なくなってしまいました。
しかし、まだまだ、各地に自噴帯は残っており、
自噴するおそれのある場所では、
さく井業者は掘削中の自噴防止に
細心の注意を払って施工することになります。
今年、そんな自噴井戸にも
遭遇しましたが、おやじの経験では、
かつて古井戸を調べていた時に、
井戸を解放したら、電信柱のような水柱が
上がって不注意にも全身に水を浴びてしまいました。
夏場の作業で良かったです!
自噴井戸は新入社員にも似て、
元気な大地の力を感じさせてくれます。
自噴井戸とは
『被圧帯水層中にスクリーンのある井戸において、
圧力水頭が地表面よりも高く、
地下水が地表に噴出する井戸。』
新版地学事典(地学団体研究会編;平凡社)抜粋
また、Wikipediaでは、
『その井戸の取水対象の地下水が、
人為的な動力によらず自ら地表(孔口)に
噴出する井戸のこと』
となっています。
いずれも、
「地表(孔口)より噴出する井戸」
を指しています。
では、なぜ地下水が勝手に
噴き出してくるのでしょうか?
その概念図を図‐1に示します。
帯水層の上に透水性の低い地層 (難透水層)
が加圧層として 覆っている時、
地下水の圧力水頭 (地下水ポテンシャル)
が 地表より高くなります。
そのときに地下水が地表に出てくる
地質条件が満たされると(亀裂の発生など)
地下水の湧出が起こります。
このときに湧出する地下水を指して、
「湧水(ゆうすい) 」と呼びます。
図-1.自噴井の概念図
井戸のボーリングは、この地下水が
地表に出てくる条件を人為的に作って、
湧出させていると言えます。
この圧力差による湧出以外にも、
温泉などに見られるのは、
溶存ガスによる湧出です。
これは、井戸内で気化した溶存ガスが、
水面まで浮き上がる際、井内水を伴って
噴出するもので、間欠泉などは
このタイプのものが多いようです。
図-2.溶存ガスによる自噴
※)参考
公益社団法人日本地下水学会では、
地下水が自然に地上に湧き出してくる現象を
「湧出」と呼び、その水を「湧水」と呼んで、
ボーリングなど人為的な現象によって
地下水が湧出した場合は「自噴」と呼んで、
湧出とは区別しているようです。
いずれにしても、動力を設置しなくても
地下水が勝手に噴き出してくるのですから、
利用する方にとっては、
とても都合の良い井戸ということになります。
では、事前に自噴井戸を計画して
仕上げることが出来るものでしょうか?
【自噴井戸の例(湧水量約毎分1.2立法メートル)】
岐阜県の濃尾平野には、
「大垣自噴帯」と呼ばれる
日本を代表する自噴帯があります。
ここは、木曽川・長良川・揖斐川の
三河川によって形成された氾濫原で、
元々地下水の豊富な地域です。
大垣市のホームページには
湧水箇所の紹介マップが
掲載されているほどです。
この地域内なら、比較的容易に自噴井を
掘削することができるかもしれません。
また、他の地方においても、
例えば北海道でも
「あそこは噴(ふ)かれる(自噴される)から、
それなりの準備をしなければ...」
と言われる地域があります。
やはり、近郊に山地が控えているとか
平野の周囲が山に囲まれていたり
する地域です。
(自噴より、暴噴の表現が適当な地区もあります。)
地元の井戸屋さんは、
そのような要注意地区は
承知していますから、
井戸を掘削しようと考えている方は、
希望の場所が自噴する可能性の
ある地区なのか確認してみると良いでしょう。
では、自噴する可能性のある地区は、
なぜ要注意地区なのでしょう。
それは、ボーリング掘削中に
自噴されると孔壁が崩壊するなどして、
掘削が進められなくなるからです。
そのため、水井戸ボーリングは
自噴されないように掘削作業を進めます。
それには、粘土鉱物を原料とする
泥水(「どろみず」ではなく
「でいすい」と読みます。)
を循環使用して作業を進めます。
この泥水には、掘削作業に寄与する三大効果があります。
それは、
1.掘り屑の地上までの運搬と保持
(ポンプで泥水を循環するときに
一緒に掘り屑を井戸外に排出します。
その時、ポンプが停止しても掘り屑が
一気に沈殿しないように一定時間浮遊させる働き。)
2.掘削ビットや掘削器具の冷却
(ビットを回転させて掘削するので
地盤との間に大変な摩擦熱が発生しています。)
3.泥水比重と不透水性の泥壁形成
により地下水噴出と孔壁の崩壊の防止。
の3点です。
井戸の掘削を始める前に、
よく聞かれることが
「最終深度まで掘削する前に
地下水が有ったら、そこで仕上る
ことができないか?」
または、
「途中の地層の地下水を採水して
水質検査ができないか?」
ということがあります。
ここで、上記3、の働きに
注目していただくと
「地下水噴出の防止」
の文字が目に入ります。
すなわち、掘削作業中は地下水を
止めながら掘っているので、
途中に水が有る兆候を
確認することができても、
実際に揚水することはできません。
揚水は、井戸を完全に
仕上げなければできないのです。
これは、自噴する心配のない
水井戸ボーリングでも同様です。
とにかく、井戸は完成するまで
揚水することはできないのです。
4月の声を聞き、新年度も始まり、
北海道での桜の開花は
5月連休頃になりますが、
寒暖を繰り返しながらも、
確実に一日いちにちと
暖かくなっています。
冬の北海道(ニセコなど)は、
最近、海外の方々に人気がありますが、
やはり、おやじを含め、老いた身には
温かい日差しが一番の薬です。
さて、高齢諸兄の皆様、
新入社員に負けないように
頑張ってまいりましょう!!
今回もお読みいただきありがとうございました。
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