みなさん、こんにちは!
春風薫るいい季節になってきましたね。
"中年のアイドル" 井戸おやじこと、
アサノ大成基礎エンジニアリング
の杉山明です。
毎度、井戸おやじのブログをご覧いただき、
ありがとうございます。
第5回目の"井戸端会議"は「地下水汚染」
についてのお話です。
◆そもそも、地下水って何だっけ?
おさらいの意味も兼ねて、地下水の定義を
お話します。
な・なんと・・・。
実は研究者によって見解の相違もあり、
地下水の研究者や技術者ら専門家でつくる
日本地下水学会でも地下水の
明確な定義は纏められて
いないのです!
最も広い定義では、地下水とは文字通り
「地下にある水」のすべてを言います。
地下の砂礫層の中などをゆっくりと移動
する地下水は、自然ろ過や浄化作用
を受けているために、一般的に
河川水や湖沼水などに比べて、
水質は良好です。
ところで地下水って、湖沼や河川よりも
はるかに量が多いのはご存知ですか?
古くから地下水は、飲料水や農業・工業
用水など、人間が使える淡水資源として
様々な形で利用されているのです。
現在、工業や生活用水として、地下水への
依存度が高い地域は下記の通りです。
●工業用水(全国平均 約25%)
・北陸、近畿地方(内陸部)・・・50%超
●生活用水(全国平均 約22%)
・南九州、山陰地方・・・50%超
見えないところで役に立っている地下水。
まさに縁の下の力持ちって感じですよね!
◆地下水汚染って何?
工業用・生活用に利用されている地下水
ですが、近年汚染が危惧されています。
地下水汚染は「ハイテク汚染」とも言われ、
高度経済成長期の事業活動での
利用形態を通じて発生し、
顕在化してきました。
これまで地下水汚染の原因となってきたのは
以下のような場所から発生したものであり、
その種類の多くにはと環境基準という
指標が規定されています。
①有機塩素系溶剤、石油系物質・気体
(半導体洗浄やクリーニング工場で使用)
②工場、鉱山、自然由来の金属・非金属イオン
③農業、肥料、し尿など
汚染の処理方法を検討していくうえでは、
水に溶けやすいか否かという汚染物質の
性状による影響が大きいため、汚染物質
の把握が重要です。
◆なぜ地下水汚染が問題なの?
環境基準として規定されている物質には発がん性
が確認されていることから、汚染された地下水
を飲用利用し続けることは健康被害を
受ける可能性があります。
バングラデシュでは自然由来のヒ素の影響
を受けた地下水を飲用利用しているのは、
人口約1.5億人のうち、約3,000万人
といわれており、将来の健康被害発生が
懸念されています。
しかし、途上国では飲料水として地下水を
利用しなければならないケースが多いため、
そのリスクはより深刻となります。
国内では、まだ記憶に新しい茨城県神栖市
での有機ヒ素化合物による地下水汚染問題
が挙げられます。
◆汚染が発見された場合はどうするの?
まずは飲用利用しないこと、次に汚染源を
特定し、汚染を止めることが原則です。
地下水は河川水等の表流水に比べて非常に
ゆっくりと流れており、循環には永い年月を
要します。
そのため、一旦汚染された地下水を元の
状態に戻すには、自然力だけでは膨大な
時間がかかる可能性が高くなります。
神栖市の件でも、汚染された状態になって
から発見されるまで長時間を要したため、
その対策も長期化しています。
病気と同じで、その回復には早期発見・
早期対策が重要となるのです。
人為的原因における対策への留意点は、
まず汚染源を特定することから始めます。
汚染源を除去しないと半永久的な対策が
必要になってしまいます。
神栖市でも汚染源とされるコンクリート塊の
除去および周辺の汚染土壌の掘削除去後、
揚水および処理施設による対策が現在も
進行中です。
自然由来の場合は、鉱山や鉱脈が原因
であることが多く、広域に及ぶため、
その根本的な対策は困難です。
よって、地下水汚染を解決していくためには、
対象地内の汚染状況調査や自治体
により実施されている地下水質の
定期モニタリング結果
(地下水の環境基準項目が規定されている水質分析)
を事前確認することで対象地
だけではなく、周辺も含めた
土地利用履歴を把握した
うえで詳細な調査まで
実施します。
地下水汚染に取り組むためには、「汚染の
コンセプチュアルモデルを描くこと」=「コスト面
を含めたクライアントのニーズに応えること」
と考えます。
◆特定有害物質以外の影響を受けた地下水
地下水汚染と捉えるかは別として、1つは
塩水化が挙げられます。
工場等が集約する沿岸域では、過剰な地下水
揚水により海水を引き込んだことにより、
地下水利用に影響を及ぼしており、その対策
が急務となっています。
乾燥地では、農業を行うためにある
程度の深井戸から揚水した地下水
を散水利用しています。
しかし塩分濃度が高いと地表付近で
蒸発した塩分の集積をもたらし、
植物の生息環境を悪化させる
ことになります。
(このような地域の深井戸から取水する
地下水は古海水である場合が多く、
塩分濃度は高い。)
その他では、人間の五感による感知が
可能な生活環境への影響として
油臭油膜やO157等の細菌
などが挙げられます。
このような影響を受けた地下水が確認
された場合、法で規定されていない
項目であっても、その対応を
迫られることが多いのが現状です。
弊社では、みなさまが抱えている地下水汚染
に対する悩みについて、ご相談を
受け付けております。
守秘義務はお約束しますので、
ぜひ、お問い合せ下さい。
今回の"井戸端会議"は如何でしたか?
力が入り過ぎて、長くなってしまいました~(-人-)
感想をツブやいていただければ
嬉しいです。
近く、地下水汚染の続編として
「土壌汚染対策の今」を掲載予定です。
次号は"井戸水を使ってCO2を削減する
方法"について、ご紹介します。
どうぞ、お楽しみに!
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
31 |