みなさん、こんにちは。
半年振りになります、ベトナム・ホーチミン駐在の山本です。
前回執筆時、ホーチミンはロックダウンでしたが、幸い、
2022年8月現在のこちらの感染者数は少なく、コロナ以前の生活にすっかり戻っております。
さて、今回は人工衛星のお話です。
去る2022年5月末、国際協力機構(JICA)から下記のような発表がありました。
「ベトナム向け円借款貸付契約の調印:地球観測衛星の整備により災害・気候変動体制の強化に貢献」
ん、円借款って?ちょっと難しいですね。
「えんしゃっかん」と読み、字のとおり、
日本国政府からベトナム政府に使用目的を限定してお金を貸し出す制度で、
政府開発援助(ODA)の一形式です。
今回は、この資金により
地球観測衛星の開発、製造、打上げ、運用システム構築、関連施設建設と人材育成まで、
日本のモノ、技術・ノウハウ一式が、日本政府からベトナム政府に供与されるのです、すばらしい。
なお、通常は円借款契約の後に調達事業の入札が行われますが、
今回は諸事情により円借款契約を待たずに、調達事業の入札が先に行われたようです。
日本の電機メーカーが調達事業を既に受注済みで、事業はスタートしており、
ベトナム向け地球観測衛星は、来年(2023年)末に打ち上げ予定であるとのことです。
合成開口レーダー(SAR)
さて、今回供与される地球観測衛星には、
合成開口レーダー(SAR)が搭載される予定であり、
これにより地球表面を観測することになります。
図1 SARのしくみ(弊社SAR衛星沈下解析パンフレットより)
図1をご参照ください、SARのしくみを簡単に説明します。
衛星から電波(マイクロ波)を地表面に当てて、
反射した波を捉えて測定(1回目)、
次に衛星が同じ位置に回ってきて測定した2回目のデータとの差で、
cmオーダーの鉛直変位がわかるのです。
日本では、既にこのSAR搭載の観測衛星は打上げ済みで、
運用が行われています。
そして、弊社ATKでも、
この衛星データを活用した事業が立ち上がっているのです!!
図2 SARによる沈下解析データ(弊社SAR衛星沈下解析パンフレットより)
図2は、ATKがある地域を解析した沈下データで、
赤点が多い場所では、実際に道路の変状が確認されています。
この技術は、時系列に沿って広範囲に地表変位を解析できるため、
鉄道、道路などの広域インフラにおける工事の影響や
経年変位、地震や降雨などによる影響の分析・評価に活用することができます。
まとめ
経済成長の著しいベトナムでは、
まさに鉄道、道路などの広域インフラが急ピッチで建設されています。
また、豪雨による洪水や地すべりは、毎年各地で起こっています。
来年、円借款事業によるベトナム向けの地球観測衛星が打ち上げられて、
減災や広域インフラ建設のため大いに活用されることを期待します。
ATKも、SARデータ解析、インフラ保全や地質調査の技術・ノウハウを通じて、
その一助になることが出来れば良いと考えています。
以上
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